労働時間の基礎知識
労働時間の基礎知識
◇「法定労働時間」とは?
労働基準法第32条では、次のように定められています。
- 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
- 使用者は、1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き、1日について8時間を超えて労働させてはならない。
この定められた労働時間の上限のことを「法定労働時間」といいます。
※ただし、商業、映画・演劇業(映画の制作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業のうち、常時10人未満の労働者を使用する事業場については特例措置対象事業場として、1週間で44時間までの特例が認められています。
◇「法定休日」とは?
労働基準法第35条では、次のように定められています。
・使用者は労働者に対して少なくとも1週間に1日の休日を与えるか、または、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない。
この最低限必要な休日のことを「法定休日」といいます。
原則としては、1週間に1日の休日が必要であり、4週4休を採用する場合は、就業規則により4 週間の起算日を明示する必要があります。
(労働基準法施行規則第12条の2)
◇法定時間外労働・法定休日労働をさせることが出来るケース
原則として、「法定労働時間」を超えて働かせたり(法定時間外労働)、または「法定休日」に働かせたり(法定休日労働)することは出来ません。
ただし、次の場合は「時間外労働」及び「休日労働」をさせることが出来ます。
- ①災害など非常事由による臨時の必要がある場合
- ②公務のため臨時に必要がある場合
- ③時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定)を締結・届出した場合
◇36協定とは・・・
法定の労働時間を超えて労働(法定時間外労働)させる場合、または、法定の休日に労働(法定休日労働)させる場合には、あらかじめ労使で書面による協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
この協定のことを労働基準法第36条に規定されていることから、通称「36協定」と言われています。
【36協定で締結する項目】
36協定を締結する際、使用者と労働者の過半数を代表する者との間で(労働組合がある場合は労働組合)、以下の内容を定めなければなりません。
- ①時間外又は休日労働させる必要のある具体的事由
- ②対象労働者の業務の種類
- ③対象労働者の人数
- ④1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間
- ⑤休日労働を行う日とその始業及び終業時刻
- ⑥有効期間
【36協定の締結・届出】
36協定は、事業場単位で締結し、管轄の労働基準監督署へ届出を行う必要があります。1つの会社で別々の場所に支店・営業所・工場などがある場合は、通常は、その支店・営業所・工場などがそれぞれ1つの事業場にあたりますので、原則として支店・営業所・工場ごとに36協定を締結し、届け出る必要があります。
また、36協定は、通常1年以内の期間を定めて締結しますので、1回限りではなく継続して毎年更新する必要があります。
◇割増賃金とは
法定時間外労働や法定休日労働等をさせた場合、労働基準法で定められている割増賃金率を含んだ残業代を労働者に支払わなくてはなりません。
【割増賃金率】
労働の内容 | 割増賃金率 |
---|---|
①時間外労働(法定労働時間を超えた労働) | 25% |
②深夜労働(午後10時~午前5時までの労働) | 25% |
③休日労働(法定休日の労働) | 35% |
④時間外労働+深夜労働 | 50% |
⑤時間外労働+休日労働 | 60% |